<1>傘寿のアラーキー オーストリアの勲章受章秘話を語る
同級生・立花隆のうれしいスピーチ
その年の9月、勲章伝達式がオーストリア大使館で行われ、約150人を招待したレセプションには担当編集者や仕事仲間が集まった。
「レセプションに普通は偉い人や有名人を呼ぶらしいけど、俺は偉い人より、年中一緒にやってるヤツを呼びたいって言って、招待状を出してもらった。そしたら、なんだよ~、いつもとおんなじメンバーだよ(笑い)」
いつもと違ったのは、集まった面々がスーツや着物姿でおめかししていること。
「わが国の芸術に対する多大な貢献に感謝します」
駐日大使から大統領の祝辞が読み上げられ、シックなタキシード姿でキメた荒木の首に賞牌がかけられた。伝達式に来日したウィーン芸術大学教授から歴代受章者の説明が続く。乾杯の音頭をとったのは、上野高校の同級生である立花隆氏。
「教授の説明によると、この勲章は、いわば、文化界のノーベル賞的なものなんですね。教授が紹介したメンバーは、それぞれの分野の、本当にすごい人たちです」
噛み砕いた説明に、うなずく招待客たち。そして、「荒木の健康に、乾杯!」。大きな拍手が湧き起こった。
「立花が、どんなにすごい勲章かって説明してくれたんだ。あいつ、やっぱり、説明うまいな(笑い)。立花のおかげで男が上がったんだよね」
大使の誕生日のお祝いと、みんなへの感謝を兼ねた2次会は六本木のバニーガールがいるバーで。大盛り上がりの一夜だった。
(構成=内田真由美)