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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

戦争で“生き抜いた”というより“生きられた”日本人の記録

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 ここならコロナ菌もいないかと近くの公園の木陰に読書に行ってみたが、全然、涼しくなかった。これだけ暴力的な酷暑が続くと、さすがに何にも怒る気にならない。人間の金欲物欲、食欲性欲、権力欲名誉欲、あらゆる強欲の愚行に地球こそ怒って燃えている。だから、気分だけでも涼しくなれることを語ってくれってか。そんないい話はないよ。

 先週、「終戦」記念日なんて本当に戦争が終わった日ではないと書いたら、仲間の若い役者たちからメールが届き、「墓参りに帰れないで家で1人ですが、そんな終戦時のことは知りませんでした。勉強します」と書いてあった。ならば、これも読めばと彼らに薦めたのが「生きて帰ってきた男―ある日本兵の戦争と戦後」(小熊英二著/2015年刊・岩波書店)という凄い実録本だ。

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