追悼・岸部四郎さん 年収1.8億円から自己破産の“波瀾人生”
自虐ネタでお茶の間に返り咲き
その岸部さんは「人間気楽に生きたらいいさ」と歌い、著書「後ろ向き 一週間に一日幸せならいい」では無芸でもいい、いつも3番手を狙うという人生論をつづっている。
それが芸域の広さにもつながったのだろう。バラエティータレントとしてお茶の間に返り咲き、「岸部四郎の落とし穴」のコーナーが人気に。
「俺を誰や思てんねん、元金持ちやぞ!」と叫び、「もう金しかないなあ」と、落とされた穴の中で慰謝料請求をにおわすようなコメントをして、笑いをとった。金欠や体調不良、数々の不遇を逆手に取った自虐ネタであった。
その後も右足の大腿骨骨折で手術を受けるなどして、老人ホームに入居するなどしていた岸部さん。2013年12月、タイガースのライブツアー最終日の東京ドーム公演に車椅子で登壇し、沢田研二らメンバーの見守るなか「イエスタディ」を歌ったのが最後の公の場となったそうだ。
千葉県内の病院でひとり静かに息を引き取り、近くに住む姉が駆けつけ、俳優で兄の一徳(73)も駆け付けたときは、すでに帰らぬ人となっていたという。