劇場版「鬼滅の刃」公開 SNSの“負の側面”から広がった共感
連載当初は、そのシリアスかつ血なまぐさい世界観から、正直ここまでのヒットにつながることを予測できなかった読者も多いはずだ。
にもかかわらず、なぜ大衆の心に鬼滅の刃という作品は響いたのか?
今までの主人公といえば、とにかく「強い」ことが求められた。手が届かないほどの、圧倒的な強さやセンス。もちろん炭治郎にもセンスはあるとは思うが、どちらかというと努力でセンスを磨いてきたタイプといえる。
そして彼が戦う理由は、決して正義のためではない。妹を人間に戻すという、これもまた「慈しみ」による理由である。
■時代が求めた新たな「主人公像」
今、大衆が求めているヒーローは正義の名の下に、圧倒的な強さを振りかざす存在ではなく、「忌むべき存在の痛みにすら寄り添いながら、救いの名の下に、その強さを振るう存在」なのだ。
それを鬼滅の刃、そして主人公・炭治郎が人気になった時、必然的に実感した。