劇場版「鬼滅の刃」公開 SNSの“負の側面”から広がった共感
今や国民的人気を誇る「鬼滅の刃」。劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」が16日から公開された。鬼滅の刃は、大人だけでなく、子供にも人気の高い作品だが、劇場版の上映区分が「12歳未満は保護者の助言、指導が必要」となるなど、実際は血なまぐさい命のやりとりが描かれている作品でもある。
主人公の竈門炭治郎の個性を一言で表すならば、「異常なまでの慈悲深さ」だろう。炭治郎は、家を留守にしていた間に家族を鬼に殺され、生き残った妹を鬼にさせられたという悲しいバックボーンを持っている。
その炭治郎の凄いところは、本来であれば、忌むべき対象である鬼に対しても慈悲深いところだ。それが弱点でもあると、炭治郎の師匠が指摘する場面もあったが、その「慈悲深さ」こそが、炭治郎を炭治郎たらしめ、彼の強さの源泉となっている。
鬼滅の刃に登場する鬼は皆、元は人間だった。無理やり鬼にさせられた人、生きるために自ら望んで鬼になった者……。鬼には鬼のストーリーが存在している。炭治郎はそんな鬼たちの「事情」に心を痛め、憎しみではなく、祈りを込めて、その剣を鬼のために振り下ろす。そのため、炭治郎に切られた瞬間、涙を流して死んでいく鬼たちも多い。