高倉健さんの「東映に来るか」の誘いで役者の道へ
これが縁で、三郎は健さんを生涯の恩人として敬愛するようになる。そして後年、健さん主演の「四十七人の刺客」で共演し、遺作の「あなたへ」にも出演するのだから人のつながりは面白い。
「練馬の大泉にある東映撮影所の大部屋に入ったのが20歳の年でした。来る日も来る日も、エキストラに毛が生えたようなチョイ役ばかりでね。俺の本名は石原三郎というんだけど、撮影所に同じ石原という所員がいて、よく間違えて呼び出された。それで『紛らわしいから芸名を変えろよ。おまえは健さんの紹介で入ったんだから、倉をもらって石倉でいいだろ』と言われ、それが生涯の芸名になったわけです」
私は、健さんから直々に倉の字をもらって付けたと思っていたが、聞いてみないと分からないものだ。 =つづく
(聞き手・吉川潮)
▽いしくら・さぶろう 1946年生まれ、香川県小豆島出身。本名は石原三郎。高倉健の紹介で東映東京撮影所の大部屋俳優になり、任侠映画などに出演。その後、演芸界に転身。コント・レオナルドを結成し活動するが、85年に解散し俳優に復帰。出演作多数。