「喜劇 お染与太郎珍道中」小劇場役者勢揃いの贅沢娯楽作
2人の前に出没するのは山伏2人組(石橋直也・三津谷亮)や大泥棒のお役者小僧(八嶋)、箱根の山に巣くう女山賊たち(あめくみちこ、宇梶剛士、深沢敦、石井愃一、春海四方)――果たして2人は無事に京にたどり着けるのか……。
落語噺や歌舞伎のエピソードを織り込んだ抱腹絶倒の物語だが、単なるドタバタ喜劇ではなく、物語もしっかり作り込まれ、見ごたえのある舞台になっている。
舞台セットや小道具も豪華版。
箱根山に登場する怪獣「大ムカデ」はお染と与太郎がその上に乗って花道を駆けるほどの巨大さ。ムカデの上で渡辺がシャンソンの「薔薇色の人生」など3曲を歌うというサービス満点のシーンも。
演出の寺十吾(じつなしさとる)は俳優としての評価も高い。今回大劇場での演出は初めてだが、観客への気配り目配りが細部にまで行き届く綿密な演出。エンターテインメントに徹した手腕が光る。
渡辺は20歳という役どころだが、舞台が進むにつれチャーミングな町娘に見えてくるのだから、さすがは女優。