<27>子どもの頃、遊び場は「投げ込み寺」遊女の墓場だった
これがオレの花を撮った最初、「花人生」の始まりだね。最初から“死の匂い”がある。子どもの頃から遊び場が墓場だったでしょ。それに吉原が近くにあって、遊女の匂いもある。「投げ込み寺」で遊んでたんだから、“死とエロス”が染み付いてるんだ。昔、桑原甲子雄さん(写真家・写真評論家、2007年没)がオレのことを「おいらんの白粉の匂い……」と書いてくれたことがあるんだよ。(「……おいらんの投げ込み寺で名高い浄閑寺のそばにある。だから荒木のうつす写真は、おいらんの白粉の匂いとどぶの藪ッ蚊の泣きごえがきこえてくるのだ」と桑原は新聞に書いている)
(構成=内田真由美)