島木譲二の巻 場違いな“パチパチパンチ”披露のエピソード
「生で二度と見ることがない人の方が多いでっしゃろな。わかりました!」と笑顔で了承して“場違いな”パチパチパンチをいつも以上に豪快にやってくださり「なんでやったん?意味わからんわ?」とツッコまれて客席は大喜び。誰もいないところでは芝居について「もうちょっと早い展開にした方がおもしろなるんちゃいますかな」などといつもアドバイスをくださいました。
そんな柔軟な考えの島木さんに度肝を抜かれたのは、仕事のことではありません。
打ち上げに行った際、「生中(ビール)6杯!」とか「8杯!」とか、一度にたくさんのジョッキを注文され「ぬるくなりますよ」と半ば呆れながら伺うと「冷えてるうちに飲むさかい大丈夫」と次々ジョッキを空けていかれるのです。「水やないねんから! 値打ちないわ……」と周りからツッコまれながら本当に楽しそうに飲んでおられました。
中堅の役者さんがセリフの数が少なく「こんなんやったら(自分は)いらんのに……」と独り言のように言った時、「そんなん言うたあきまへん。出してもらえるだけでもありがたいねんから」と笑顔で諭すように言われていらっしゃいました。劇場近くを歩いている時も、いつも写真やサインに「よろしいおま」と笑顔で応えてファンサービスに徹しておられた。体同様に心の大きな、優しい、「芸人」のお手本のような方でした。