飯豊まりえ「ひねくれ女のボッチ飯」持ち味であるフツーっぽさ、ヤボったさがぴったり
飯豊まりえ主演「ひねくれ女のボッチ飯」(テレビ東京系)は、いわば「孤独のグルメ」の20代女子版である。ただし、井之頭五郎(松重豊)は自分で見つけた店にふらりと入るが、こちらの主人公・川本つぐみ(飯豊)は違う。「ホワイトホース」というアカウント名でSNSにアップされた食レポが気に入り、同じ店に一人で行ってみるのだ。
すでに町中華でカツカレー、大衆食堂でしょうが焼き定食を味わった。飯豊は演技なのか素なのか、どんな料理もごく自然に、しかも実においしそうに食べる。その「食べ芸」が見どころのひとつだ。
そもそも、つぐみは内向的で非社交的。7カ月つき合った彼氏にもフラれたばかりだ。コンビニでバイトをしながら漫然と暮らしている。飯豊の持ち味である、いい意味での「フツーっぽさ」や「ヤボったさ」が、このヒロインにはぴったりだ。
さらにおかしいのは、つぐみはまだ知らないが、ホワイトホースの正体が冴えない営業マン、白石一馬(柄本時生)であることだ。仕事の失敗を失恋に置き換えた投稿が、つぐみの心にヒットする。
ホワイトホースを勝手に「白馬の王子様」と解釈し、「どんな人だろう」と夢子ちゃん状態のつぐみ。この辺り、飯豊のコメディエンヌとしてのセンスが発揮されている。匿名の世界ならではの「妄想」と「結晶作用」の行方が楽しみだ。