マナー講師の諏内えみさん 男を下げる臭い、箸、爪楊枝、そしておしぼりのマナー

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諏内えみさん(「マナースクール ライビウム」代表)

 大人のマナーといえば情報番組、バラエティー番組などに引っ張りだこのマナーの専門家、諏内えみさん。昨年出版した「『育ちがいい人』だけが知っていること」(ダイヤモンド社)は47万部のベストセラーになり、新刊「知らないと損をする 男の礼儀作法」(SB新書)も話題になっている。諏内さんにとってのサイコー&サイテー男とは?

  ◇  ◇  ◇

 男性のマナー相談はすごく増えています。マナー教室というと、これまでは女性ばかりでしたけど、最近は男性が多いですね。奥さまや彼女に送り込まれて来るんです(笑い)。「うちの主人はどうしようもないからお願いできますか」とか「婚約中だけど、これじゃ親に会わせられない」といった理由で。

 サイテー男の思い出ですか?では、20代にお見合いをした際のちょっと残念な男性のお話を! 都内のホテルで歯科医の方とお会いし、帰りは「車で送ります」とおっしゃってくれました。歩いて数分の屋外駐車場でしたのでエントランスに横づけして下さったらサイコー男でしたが(笑い)、一緒に歩いて向かうことに。でも、実は外に出たら雨も降っていたんです! それでも2人で雨に濡れながら駐車場へ……「僕、すぐ取ってきますので、ここでお待ち下さい」という気遣いは欲しかったなあ、と。

 もう一つ残念なお見合い話を。指定されたカジュアルなレストランへ到着すると、脳外科医である彼は、もうすでにワインを飲んでいました! シェア用のお料理はご自分から先に、さらに取り箸など使わず自分のフォークでどんどん取り、直接口に運び続ける……マナーもデリカシーも足りない方と感じた出来事でした。

 女性が口々に「気になる」と言うのはニオイ。臭いは自分では気がつかないから家族など親しい人に聞くしかないのです。「僕ってさあ、どうかな。加齢臭する?」とか。または「僕の臭いはABCのランクでいうとどう?」「5段階では何番目?」とか。

 臭いは下手にコロンなどで消そうとすると、臭いが混ざって、余計大変な事態になるので、もとから断つ。若い男性が持参しているような汗拭きタオルやウエットティッシュとかで。オジサマこそやらないといけませんね。

 おしぼりで顔を拭く人も相変わらずいます。顔だけでなく首、腕、耳の後ろ……。お手拭きは手を拭くものです。

 つまようじ問題もありますね。置いてあるんだからいいじゃないかという人もいますが、それは甘いです。だって、同席や周りの方はそんな姿見たくないでしょ。とくに女性は絶対に見たくないと思っています。手で隠してもダメ、隠したら余計に目立ちますから。どうしても使う時はどうするか。「ちょっと失礼」と、ようじを持って洗面所に行くようになさって。

さりげなくレディファーストがモテる

 最高の男性はレディーファーストがさりげない方です。神楽坂の和食店に行った時のことです。季節は冬でお店の方が「コートをお預かりします」と言って相手の男性の方から預かろうとしました。その時に彼が私を指して「こちらからお願いします」と言ってくださった。その気遣いがすてきだなと思いました。

 20代には丸の内の会社の海外部にいました。ある時、ロンドンの駐在からお帰りになった部長と銀座のフレンチレストランに行くことに。「お決まりでしょうか」と部長に尋ねたウエーターに「こちらのご婦人からお願いします」とおっしゃったんです! 20代のいわば小娘にご婦人と扱っていただき、私は「この方に恥をかかせてはいけない」と、ほどよい緊張感の中で食事することができました。

 こういうスマートなエスコートが自然にできるのは決まり切ったマナーだけじゃなく、「育ちがいい」ということだと思います。「育ち」とは幼少の環境や親のしつけということではありません。私が言う「育ち」は大人になって自分をどう育ててきたかということ。

「育ち」をコンプレックスに思ったり、親のせいにする方もいますが、20歳を過ぎて20年、30年もたっている中年が何を甘えたことを言っているのかと思ってしまいます。読者のみなさんには日々ご自身を育て、どんどんアップグレードしていただきたいです! 

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)

▽諏内えみ(すない・えみ) 映画ドラマでの俳優のスマート所作指導をはじめテレビ出演多数。YouTube「諏内えみチャンネル」も人気。近日「諏内えみオンラインサロン」も開設予定。

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