「撮影の記憶は忘れられない」と顔をほころばせたレフェリーのウクリッド・サラサスも「普段通りのレフェリーをすればいいと言われたんですけど、初めてですから緊張しました。でも、高倉健さんとかスターを間近に見られていい経験になりましたよ」。
共演した藤本勲の記憶は独特のものである。
「我々は素人ですけど、やっぱり沢村さんはプロの俳優なんだなあと改めて思いました。堂々と芝居をしていましたから。あの映画は沢村さんの存在が際立つ、いいきっかけになったと思います」
かくして、人気者の道を歩み始めた沢村忠だが、その人気をマスコミは放っておかなかった。(つづく)