宮川大助・花子<2>「なんべん言うたらわかんねん!」と花子さんをスパルタ指導
大助・花子さんに初めてお会いしたのは1983年4月、「近代漫才の父」といわれる漫才作家の故・秋田実先生が主宰の「笑(しょう)の会」に参加させていただいた時でした。演者と作家の若手同士がコラボし、互いに向上しようという企画でした。当時の大助・花子さんは、今のような「かかあ天下漫才」ではありませんでした。記憶が正しければお2人ともに白いトレーナーのようなスポーティーな衣装で、花子さんが“ホイッスル”を首からつるし、「元婦人警官」のキビキビとしたシーンはあるものの、8:2ぐらいの割合でネタの大半は大助さんがしゃべり、花子さんは相づちに毛の生えた程度だったように記憶しています。
コンビが本気をぶつけ合う「本稽古」を人前で見せることはほとんどありません。会場の楽屋などで本番前の確認や調整をする“ネタ合わせ”は、本来仕上がっているので、たいていの芸人さんはさらりと確認を済ませる程度です。
でも、大助・花子さんは違いました。本番直前、「違う! なんべん言うたらわかんねん!」と大助さんの怒声が飛び、私をはじめ、他のメンバーも近寄りがたい張り詰めた空気に。