テレ朝「和田家の男たち」ホームドラマに織り込まれた鋭い“メディア批評”
金曜ナイトドラマ「和田家の男たち」(テレビ朝日系)が、ぐっと面白くなってきた。
和田寛(段田安則)は新聞社の元社長。息子の秀平(佐々木蔵之介)は報道番組プロデューサー。そして秀平とは血のつながらない父子である優(相葉雅紀)はネットニュースの記者をしている。
新聞、テレビ、ネットと、和田家の男たちのキャリアはメディアの歴史そのものだ。おのおのの考え方も視点も異なるが、最近まで、この設定が十分に生かされていなかった。しかし、先週の第6話で物語が深化したのだ。
食品グループ代表の山路有美(かとうかず子)が失踪し、メディアは若い夫に疑惑の目を向ける。秀平も上司から、この件を取り上げろと迫られるが、独自ネタがない限り自分の番組ではやらないと宣言。こんなテレビマンがいてほしいものだ。
一方、優は記事の見出しを改ざんされたために大炎上。「ビューさえ稼げば何でもあり」の姿勢に疑問を抱く。その後、町中華の取材中に出会ったのが、女店主の妹である山路有美だ。彼女は、体調を崩して倒れた姉を助け、夫を気遣う優に心を開く。指名された優が書いたインタビュー記事は結果的に大スクープとなった。「取材者への信頼」が生んだ金星だ。
相葉たちの好演を支える脚本は大石静、田中眞一ら。ホームドラマに織り込んだ“メディア批評”が、見る側を刺激する。