禁煙をしたいときは「損失回避バイアス」を考えるように
厚生労働省の調べによれば、6割近くの喫煙者が「禁煙したい」「本数を減らしたい」と答えていることが判明しています。それにもかかわらず、吸い続けてしまう──。その理由は、以下の3つのバイアスによるものだと、行動経済学者で青森大学の竹林正樹氏は説明しています。
①現在バイアス(目の前にたばこがあると「1本くらいいいかな」と衝動的に飛びついてしまう)
②同調バイアス(周りに喫煙者が多いと、「周りも吸っているんだから」とやめられない)
③楽観性バイアス(たばこのパッケージに「喫煙によって肺がんリスクは4倍」と書かれていても、「私はそうはならない」と楽観的に考えてしまう)
このように、喫煙者の大半は喫煙の害を知っていても、認知バイアスによって禁煙ができないと考えられています。
では、どうすれば歯止めをかけられるのか?
その際に効果的なのが、人が「利益を得る喜び」よりも「損失を避ける悲しみ」を強く感じる心理傾向「損失回避バイアス」を利用することです。毒は毒をもって制すではないですが、バイアスにはバイアスで対抗するのです。