<136>早貴被告の弁護士は約束した抵当権の抹消をしなかった
するとFさんは、棚にある書類入れから名刺を2枚、取り出した。そこには早貴被告の弁護士であるUと、その同期で大阪のFの名前が記されていた。
「私は幸助さんとは幼馴染みでしたから通夜にも行っていました。そこでアプリコの佐山さんから『過払い金を返還しなければならないので、書類を提出していただけませんか』と言われまして、葬儀から1カ月ぐらいして佐山さんが店に来て、いろいろと説明をしたんです」
8月のお盆ごろにFさんは市内の司法書士に相談したが、返還金が200万円以上の場合は弁護士の業務になると教えられて、過払い金請求の広告で知った全く面識のない東京の弁護士事務所に電話をかけた。すると書類が送られてきたので、必要事項を記入して近所の郵便局まで持っていったという。
■「親切でありがたい」と思ったが…
「郵便局から店に帰ってきたら、ちょうど佐山さんから電話が来て、『過払い金請求の書類はどうなりましたか?』と聞かれてね。『東京の弁護士さんのところへ送るために郵便局に行って、今帰ってきたばかりよ』と返事をしたら、『Fさん、すぐに郵便局に行って、出した書類を戻してもらってください』って。佐山さんも、すぐに来てくれたんです」