著者のコラム一覧
伊藤さとり映画パーソナリティー

映画コメンテーターとして映画舞台挨拶のMCやTVやラジオで映画紹介を始め、映画レビューを執筆。その他、TSUTAYA映画DJを25年にわたり務める。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。レギュラーは「伊藤さとりと映画な仲間たち」俳優対談&監督対談番組(Youtube)他、東映チャンネル、ぴあ、スクリーン、シネマスクエア、otocotoなど。心理カウンセラーの資格から本を出版したり、心理テストをパンフレットや雑誌に掲載。映画賞審査員も。 →公式HP

大混戦!米アカデミー賞主演女優賞は最年少のクリステン・スチュワート推し

公開日: 更新日:

 3月28日(日本時間)に授賞式が迫ってきた米アカデミー賞。いったいどの映画が受賞なるか、と期待が深まる中、今年、混戦を極めるのが主演女優と言われています。

 しかも興味深いのは、主演女優賞に輝いた5人の出演作がいずれも作品賞や監督賞にノミネートされていないこと。その理由は作品への評価よりも、主演女優の演技力が際立っていたことからノミネートされたのではと推察しています。ただし主演女優賞作品も全て鑑賞した筆者としてはどの作品も秀作であり、いずれも描かれるテーマの世界観が今回の作品賞ノミネートに比べるとやや狭まっていただけなのかもとも感じています。

 しかしながら、5作品ともに女性として生まれた人々が抱える問題に焦点を当てたものであり、うち3本は実話がベースというアカデミー賞好みのラインナップです。では、どんな作品なのか、注目作を踏まえてご紹介します。

■“実話”3本のうち2本はお茶の間の人気者が主人公

 まずは『女王陛下のお気に入り』(2018)で一度アカデミー賞主演女優賞を手にしているオリヴィア・コールマン主演の『ロスト・ドーター』。これはNetflix作品であり、バカンス先で、オリヴィア・コールマン演じる主人公の中年女性が若い母娘と出会ったことで過去の子育ての苦労がフラッシュバックし、思いも寄らない行動に出てしまう、というもの。

 次に『それでも恋するバルセロナ』(2008)でアカデミー賞助演女優賞を受賞したペネロペ・クルス主演のスペイン映画『パラレル・マザーズ(英題)』。本作は同じ日に出産し、共にシングルマザーとして娘を育てる二人の女性の数奇な運命を描き、死生観を綴った作品です。

 実話ベースの3本のうち2本は、偶然にもお茶の間の人気者が主人公というのも興味深いですね。ひとつは今までアカデミー賞ノミネーションだけでとどまっているジェシカ・チャステイン主演、テレビ伝道師タミー・フェイとジム・ベイカー夫婦の波乱万丈な人生を描いた『タミー・フェイの瞳』。2つめは『めぐりあう時間たち』(2002)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したニコール・キッドマン主演、人気シットコム「アイ・ラブ・ルーシー」のリカード夫妻を演じたルシル・ボールとデジ・アナーズ夫婦の表と裏の姿を描いた『愛すべき夫婦の秘密』です。

■ノミネート最年少のクリステン・スチュワートが鮮烈に演じるダイアナ妃

 そんな中、世界中に知られる悲劇のプリンセス、故ダイアナ妃の知られざる3日間を描いた作品『スペンサー ダイアナの決意』でアカデミー賞初ノミネートとなったのがクリステン・スチュワート。その姿は仕草や話し方からダイアナ本人を彷彿させ、ダイアナの壊れゆく精神をカメラがしっかりと捉えるという圧巻の映像表現でした。

 個人的には5人の中で最年少であり、初ノミネートのクリステンの演技が脳裏に焼き付くのみならず、シャネル全面協力による当時のダイアナファッションや見惚れるほどの画や、その後に起こった歴史に残るニュースへの伏線としても極上のサスペンスに仕上がっている本作を推したいところですが、結果はさて?

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 2

    中居正広の騒動拡大で木村拓哉ファンから聞こえるホンネ…「キムタクと他の4人、大きな差が付いたねぇ」などの声相次ぐ

  3. 3

    木村拓哉は《SMAPで一番まとも》中居正広の大炎上と年末年始特番での好印象で評価逆転

  4. 4

    中居謝罪も“アテンド疑惑”フジテレビに苦情殺到…「会見すべき」視聴者の声に同社の回答は?

  5. 5

    中居正広9000万円女性トラブル“上納疑惑”否定できず…視聴者を置き去りにするフジテレビの大罪

  1. 6

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  2. 7

    フジテレビは中居正広で“緊急事態”に…清野菜名“月9”初主演作はNHKのノンフィクション番組が「渡りに船」になりそう

  3. 8

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  4. 9

    若林志穂vs長渕剛の対立で最も目についたのは「意味不明」「わからない」という感想だった

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース