漫才ライブで笑えない「お客さんが笑うタイミングと自分の笑いのツボが違っていて…」
同志社女子大学で教壇に立つ影山貴彦氏が、学生たちとのやりとりから見えてきた「当世メディア論」を語る。
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いつも明るく笑顔を絶やさない教え子が、ゼミで意外なことを話してくれました。
「この前、漫才ライブを生まれて初めて見に行ったのですが、全然笑えなかったんです」
教え子の顔は真剣です。「M-1グランプリ」をはじめ、普段からお笑い番組を見るのが大好きな彼女。きっとその時の芸人さんたちの調子が悪かったのだろうと想像したのですが、そうではありませんでした。
「周りの人の笑い声がとても気になって。お客さんたちが笑うタイミングと自分の笑いのツボが違っていて、なんだか集中できなくなってしまったんです」
まさかの言葉でした。普段はテレビとかYouTubeなどでお笑いを心ゆくまで楽しんでいるその学生の言葉だけに不思議でならなかったと同時に、彼女のそんな経験に興味が深まりました。