著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

2015-2022「那須川天心vs武尊」の記録(下)2人の立場が入れ替わり「何だか恋愛みたいですよね」

公開日: 更新日:

 さらにこの直後、天心は「22年春のRISEの大会でキックボクシングを引退して、プロボクシングに転向します」と宣言。新たな舞台に打って出ることを明かした。

■東京ドームを押さえるも…

 ここから試合の計画は、実現に向けて具体的に進んだようである。「このカードを組むために、数年レベルで調整して、根回ししていた」と昨年暮れの記者会見で明かしたのは、RIZINの運営会社の代表の榊原信行である。榊原は自らが仲介に入ることで、試合をまとめようとしたのだ。

 実現に最も近づいたのが、昨年の6月13日だったのは意外と知られていない。この日、RIZIN初の東京ドーム大会が行われたが、実は「那須川天心対武尊」のために押さえたのである。実現しなかったのは武尊が3月の武道館大会で負傷したことにあった。

 さらに、年末にさいたまスーパーアリーナで開催するというプランもあったが、これも流れた。説得相手はK-1に限った話ではなく、むしろボクシング転向という新たな目標を掲げた天心の方が難題だった。

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