ワンオクTaka「声出しあおり発言」の真相 神宮花火大会&サマソニ記者参戦ルポ
会場のルールを理解したうえで、あえて発言
終盤、千葉マリンスタジアムに登場したONE OK ROCKのTaka(34)が「もうどんだけ声出しても関係ないだろ」と発言しネットで炎上騒ぎに。しかしながら、記者がいたスタンド席では拍手が大きくなるだけで、マスクを外す者もいないし、大声をあげるようなやからはおらず、批判する者もいなければ口論も起きていなかった。Takaのコメントは「俺たちは夏フェス出禁になる覚悟で来た。これ(声を出さずに観賞)が普通になっちゃいけない……やめてほしい人たちもいると思うけど、ごめんね、これが俺たちのやり方だから」と“会場のルールを理解”したうえで、あえて今後の日本のライブシーンを危惧して発言していたのだ。全てを聞いている観客は、彼の発言と背景に理解を示していたようだ。
フェスは自分で観賞する場所を選べるので、感染を回避したければ後方でソーシャルディスタンスをとって観賞することも可能だし、他のアーティストを見るという選択肢もある。過激な発言だけが切り取られ、舌戦を繰り広げるネット民との温度差を感じた。同志社女子大学(メディア論)の影山貴彦氏がこう言う。
「コロナ終息後、演者と観客が相乗していいライブをつくることを知らず、楽しみ方がわからなくなってしまうというのもエンタメ界にとって心配な部分でもあります。祭事などは毎年繰り返すことで、伝統をつなぐ側面もありますし、エンタメの継続、再現性に向けて“いいあんばい”でシフトできたらと思います。また、コロナ禍になってからのライブを知ってる人と知らない人の温度差も大きい。エンタメ界がどれだけ感染対策に力を入れているか、一度体験すると、ネガティブな見方も変わってくるのではないでしょうか」
エンタメ復興も百聞は一見にしかず。まずは現場に足を運んでから意見を述べるべきだろう。
(取材・文=岩渕景子/日刊ゲンダイ)