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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

甲本ヒロト、三谷幸喜…自分の才能にも発揮した松重豊の「見る目の無さ」

公開日: 更新日:

 代表作となる「孤独のグルメ」(テレビ東京系)へのオファーがあった時も「見る目のなさ」を発揮した。「最初、企画書を見せられて、ホントにただオッサンがメシ食ってるだけなんで……。これプロフィルの汚点になるなと思った」(TBS系「A-Studio」2014年11月21日)という。

 それが連続テレビドラマ初主演作となり、現在までシーズン9まで制作し続けられているのだ。しかも、食事シーンをメインとし、それをドキュメンタリータッチで描く手法はその後、数多く作られるグルメドラマに多大な影響を与えることとなった。

 そんな松重が恩人だというのが演出家の蜷川幸雄だ。「『こんなセリフも覚えてないのか!』とよく怒鳴られましたし、若い頃の怖かった思いがいまでもトラウマになるくらい、蜷川さんという人はもう本当に怖くて」(文芸春秋「文春オンライン」20年12月5日)という存在だった。

 そんな中で仕事もなく困窮し、自分の才能を信じられなくなった松重は一度足を洗い、建設現場で正社員として働いていた時期もあった。つまり、自分の才能に対しても「見る目がなかった」のだ。そんな松重を信じ続けたのが蜷川だった。復帰後、「おまえ、役はまだどんどんあるからさ」と、何度も松重を起用したのだ。

「蜷川さんがこうやって使ってくれているんだから、蜷川さんの目の黒いうちは、僕は二度とこの世界を辞めたいなんて言えないな」(同前)と奮起した松重。その後、日本有数の名俳優となったのだ。

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