立川談志は亡くなっても弟子の食い扶持の面倒まで見ている 復帰高座での忘れられない思い出
つい最近、落語の立川流真打ち、立川談慶(57=円内)が本を出版したことが話題になった。名前を見てすぐにわかる通り、11年前に亡くなった立川談志師匠の弟子である。
本のタイトルが「武器としての落語 天才談志が教えてくれた人生の闘い方」(方丈社)というもので、談志さんが残した言葉から「浮き世を強かに生きる発想」を導き出すというテーマ。談志さんに叱られたこと、教え諭されたことなどを書いている。
談慶は自分のことを本格派ならぬ、「本書く派落語家」と名乗っているが、たくさんの著書があり、談志さんについても何冊も出版している。
それはつまり、「談志のことを読みたい、知りたい」という人がまだ多くいるということだ。談志さんの存在感は大きく、現在もその余韻が残り続けているのだろう。
談志さんは、所属していた落語協会を飛び出している。彼の師匠で当時の落語協会の会長だった柳家小さん師匠は「あいつは破門だ」と言ったのだが、実は「立川談志」という名跡は小さん師匠が持っていたもの。「もう名乗らせない」と言えば、それだけで致命的ダメージなのに、それをしなかった。談志さんの存在を大きく認めていたのだろう。