社会学者・宮台真司氏はなぜ襲撃されたのか? 安倍元首相銃撃事件で展開したメッセージ
作品には賛否両論あり、「テロを礼賛するのか」といった抗議を受け、上映を中止にする劇場もあった。国葬では反対派と賛成派が路上でぶつかり、ののしりあう。自分とは違う意見を受け入れない、度量の狭小さが分断を招くなか、宮台氏はまた、殺害事件の背景を読み解く朝日新聞のインタビューで「自民党と統一教会についてのズブズブ」などの部分を削られたことを報告。そして「(事件で)世直しがはじめて作動するような、この体たらくを我々が、政治家が、とりわけ朝日新聞のようなマスコミが放置してきたということが問題なんだ」と訴えた。
政治に社会、メディアへの舌鋒の鋭さが際立ったが、宮台氏の発言はそれだけじゃない。地縁も血縁も分断されたような日本社会で、すべて自己責任とばかりに、命すらないがしろにされている若者や孤独な中高年へのエールのようなコメントでも知られている。
宮台氏はあるイベントでこんな話をしていたという。
「会社と家との往復だけになりがちなサラリーマン世代に、もうひとつ別のコミュニティー『界隈』を持てと提言していた。それはセーフティーネットとなり孤独や寂しさから逃れられると。しかし、そうした面は知ろうともせず、偏ったイメージだけで言論人を批判したりする向きが増えている。その一部が刃物で切り付けるような暴挙に出たとすれば、恐ろしい」(マスコミ関係者)
一日も早い回復が待たれる。