NHK新会長に稲葉延雄氏 “日銀総裁になれなかった男”が公共放送トップに選ばれた経緯と評判
「安倍政権下ではNHK会長は官邸主導で決まったが、今回の人事に政治の“におい”はしない。岸田首相が無関心なこともあるが、正直かまっている余裕はないのでしょう。夏ごろまでは、NHK内でも『今度こそ内部昇格』との意見が強く、初の女性会長として、現在ナンバー3の林理恵・専務理事を推す声があった。しかし、会長人事を牛耳る政治部出身者の主導権争いもあってまとまらず、結局、前田会長が後任の人事を進めていったのです」(NHK関係者)
人選にあたっては経済界を中心に進められ、「最終候補」として丸紅元社長の朝田照男氏の名前が挙がっていた。ただ、丸紅も前田氏の出身母体・みずほFGと同じ芙蓉グループ。前田氏が「お手盛り人事」との批判を気にした結果、朝田氏と共に経済同友会の監査役を務める稲葉氏に白羽の矢を立てたとみる関係者もいる。
「稲葉氏は相当な自信家で『オレがオレが』というタイプ。結構、威張るので、若い頃は頭上の蛍光灯がチカチカし出すと、『何で取り換えないんだ!』と周囲にあたり散らすこともあったそうです。結局、日銀総裁になれなかっただけにNHK会長ポストは彼の自尊心を満たすには十分でしょう。日頃は日銀の独立性を重んじ、政治の介入によって金融政策を歪める黒田総裁には批判的です」(稲葉氏を知る金融関係者)
その気骨を持ってNHKへの政治介入をはねのけてほしい。