特撮映画が邦画を救う! “オトナが見る「仮面ライダー」”が秘める日本映画の新たな可能性
「シン・ゴジラ」(2016年)の大ヒット以降、日本の怪獣・ヒーロー物は新たな局面を迎えた感があるが、そのキーワードは“特撮”。「シン・ゴジラ」はCGを主体にミニチュアを使った特撮も一部取り入れたハイブリッドVFX作品で、「シン・ウルトラマン」(2022年)の場合は、ほぼ全編がCG。だがどちらも目指しているのは怪獣や巨大ヒーローのスーツを人間が着て表現する、特撮の映像感覚をCGによってかなえることであった。
ハリウッドや中国ではCGによる映像表現を進化させることに目が向いているが、「シン・ゴジラ」の総監督を務めた庵野秀明を筆頭に、日本では特撮の表現を、いかに今の時代の観客にアピールするものとして馴染ませられるかの、試行錯誤を重ねている。
「シン・ゴジラ」の特技統括、「シン・ウルトラマン」の准監督を務めた尾上克郎氏が以前言っていたが「特撮を前時代の技術ではなく、題材によって今も活用できるものとして見る視点が必要」だと捉えているのである。
「仮面ライダーBLACK SUN」に関して言えば特撮の印象が強まったことで、50年前と現代をつなぐ物語の時代感覚とうまく馴染んでいるように思える。こういうアプローチは、3月に公開予定の庵野秀明監督による「シン・仮面ライダー」にもつながる気がする。