ジャニーズ性加害問題をTVようやく報道…「メディアのガラパゴス化も露呈した」と識者警鐘
影山貴彦/同志社女子大学教授(メディア学)
ジャニー喜多川氏による性加害問題に関して、テレビメディアもようやく動いたことは大きな進歩。しかしながら、BBCをはじめとする海外メディアに取り上げられたことがきっかけという日本メディアのガラパゴス化も露呈しました。民主主義メディアとして自浄作用が働いていないことは反省すべき。
今回大きな風穴が開いたもう一つの理由に“ネット”の存在もありました。ネット社会になっていたからこそテレビが報じなくても“噂”で終わらなかった。風向きが変わり、今まで報じなかったメディアが何事もなかったかのようにジャニーズ側の対応を報じるだけではメディア全体の不信にしかつながらない。テレビ離れを食い止めるためにも、各社が今後の姿勢を視聴者に示す必要があると思います。
冤罪と報道をテーマにしたドラマ「エルピス―希望、あるいは災い―」がギャラクシー賞の月間賞を受賞していますが、今までドラマとして扱わなかったテレビ局の“陰の部分”を題材として扱うこともひとつの進歩。今後は芸能プロとの付き合いがよりフラットになり、日本のメディアが健全化することを願ってやみません。