故・上岡龍太郎さん 58歳で「俺の芸は21世紀には通用しない」印象的だった“引き際の鮮やかさ”
《昨年秋頃、積極的治療の術がなく本人も延命を求めていない、と知らされた時に少しは覚悟しておりましたが、あれよあれよという急展開で母も私もまだ気持が追いついていない状態です》
引退から23年、タレントの上岡龍太郎さん(享年81)が、5月19に肺癌と間質性肺炎のため亡くなっていたことが明らかになった。上岡さんの死について、長男で映画監督の小林聖太郎氏が談話を発表した。
1959年に横山パンチの芸名で、横山ノック・フックとのトリオ芸人・漫画トリオとしてデビュー。ABCの「探偵!ナイトスクープ」の初代局長として活躍。「鶴瓶上岡パペポTV」(読売テレビ)などで見せる歯に衣着せぬ発言や流ちょうな話術は上岡節と言われ、関西の重鎮タレントとして絶大な人気を誇っていた。
2000年には宣言通り、「俺の芸は21世紀には通用しない」という言葉を残して58歳で引退。2007年5月に亡くなった横山ノックさんのお別れの会など、冠婚葬祭以外で公に姿を現すことはなかった。
《とにかく矛盾の塊のような人でした。父と子なんてそんなものかもしれませんが、本心を窺い知ることは死ぬまでついに叶わなかったような気もします。弱みを見せず格好つけて口先三寸……。運と縁に恵まれて勝ち逃げできた幸せな人生だったと思います》(聖太郎氏のコメント)
ごく限られた身内で密葬を済ませており、上岡さんはお別れの会なども固辞したいと強い意向を残していたという。
上岡さんと言えば引き際の鮮やかさ。地位や権威に恋々としない人生だった。