追悼・PANTAさん(頭脳警察)時代に抗い続けた反骨のロック魂
「音楽は国境も民族も宗教も超越する最強のもの」
ロック界のカリスマでありレジェンドでもあるにもかかわらず、偉ぶることなく誰に対しても分け隔てなく接し、時に若いミュージシャンの才能を引き出すプロデュース役も買って出た。
荻野目洋子をプロデュースし、沢田研二、石川セリ、堀ちえみ、岩崎良美らに楽曲を提供するなど間口は広く、ロックのみならず音楽業界、映画界、演劇界にも豊富な人脈があった。
3.11の福島第1原発事故後の経産省前反原発デモにもファンやミュージシャンと共に参加。私も何度も同行したがPANTAさんは気負うことなく「みんなでお散歩に行こうか」と飄々としていた。
1990年代に、高取英に引き合わされた時も、まるで昔からの友だちだったかのようにフランクに接してくれた。
PANTA&HALの名盤「マラッカ」「1980X」のレコードを擦り切れるほど聴いた私にとって雲の上の人だったが、出会ってから30年近く、友人のひとりとして時に密な交流をしたことは望外の幸せだった。
5年前に高取(享年66)が、そして私が橋渡し役となって、PANTAさんが音楽を担当した水族館劇場の桃山邑氏(同64)が相次いで亡くなり、まさかPANTAさんまでとは……。
6月14日が最後のステージとなり、19日に再入院した後もアルバム制作に意欲を燃やし続けた。
時代に抗い続けたその反骨のROCK魂。終わりの時まで現役の「ROCK屋」としての人生を全うしたPANTAさん。
「音楽は国境も民族も宗教も超越する最強のもの。それを経済活動に利用されたくはない。ロックはあくまでも“反”であるべきなんだ」
そう言ってにっこり笑ったPANTAさん。人は死んでも歌は滅びない。 合掌
(山田勝仁/演劇ジャーナリスト)