フジ「27時間テレビ」が大復活! 社会学者が分析した起死回生の要因“原点回帰”とは?
ひたすら笑いで埋め尽くす内容
「すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった」(ちくま新書)、「芸人最強社会ニッポン」(朝日新書)などの著書もある社会学者の太田省一氏はこう話す。
「ここ数年の放送はテーマを作ってむりやり教養番組っぽくしていたが、今回は、ひたすら笑いで埋め尽くすといった原点に立ち返った内容でした。さらに、今のテレビの最前線で活躍している千鳥、かまいたち、ダイアンといった3組の芸人をメインに据え、その合間に、ダウンタウンやさんま、たけしらが出てくる構成で、原点回帰させると同時に、今どきの笑いもしっかり取りいれていて、若いファンも往年のファンも楽しめるバランスのいい内容になっていたと思います」
今どきの笑いを上手に取り入れたことで若い視聴者の獲得に成功し、コア視聴率は上々。“真剣勝負の先に笑いがある”とした総合演出のコンセプトも奏功したようだ。太田氏が続ける。
「『サビだけカラオケ』における、ほいけんたのフィーチャーのされ方とか、グランドフィナーレでもダイアン津田のお母さんが中島みゆきを歌うとか、大物のスター性ばかりに頼るのではなく、スタッフが本当に面白いと思うものを追求している姿勢を感じました。さらにマラソンなどでも、無理に感動を押し付けるのではなく、基本は笑いがベースにありながら、予想外の展開で図らずも感動してしまうということが起こり、かえって素直に感動できました。企画力の勝利だと思いますね」
ことし開局65周年を迎えるものの、22年度の個人視聴率では、全日(午前6時~翌午前0時)、プライム(午後7~11時)ともに4位に沈み、不調にあえぐフジテレビにとっては久々の明るい話題か。
「かつてのフジテレビのノリは否定されたりもしますが、今の時代をふまえた上で、“フジテレビっぽさ”がうまく出せていたことが勝因のひとつだと思います。これは『オールナイトフジ』などを復活させた港社長の戦略勝ちでしょう」(太田氏)
フジテレビだけでなく、配信やサブスクに押され、ますます苦戦する他局にとっても、復活のヒントになりそうだ。