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北島純映画評論家

映画評論家。社会構想大学院大学教授。東京大学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹を兼務。政治映画、北欧映画に詳しい。

映画で理解するパレスチナ問題(後編)ユダヤ人とパレスチナ人は分かり合えないのか

公開日: 更新日:

 パレスチナ問題ほど複雑かつ混迷を極める問題はない。「アラビアのロレンス」は「アラブの独立」を描いたが、歴史の激流の中で第2次世界大戦後、「ユダヤの独立」としてイスラエルが建国され、パレスチナ難民が生まれた。イスラエルからすれば国連決議に基づいて樹立した国家をいかに守るかという自衛権の問題になるが、パレスチナ人にとっては一方的に奪われた郷土をいかに取り戻すか、占領からの解放と難民の帰還権の問題になる。そこに聖地エルサレムを巡る長年の宗教対立、シオニズムとイスラム聖戦(ジハード)思想、イランやサウジアラビアなどによる中東全域にわたる地政学的対立、膨大な石油利権と米ソ東西冷戦構造が絡み合い、パレスチナは地球上で最も争いの絶えぬ地域になった。

 前回紹介したように1995年にラビン首相が暗殺された後、オスロ合意は崩壊し、イスラエル政治は右傾化を強めていく。ガザ地区とヨルダン川西岸地区へのユダヤ人入植活動が推進され、2000年には右派政党リクード党首シャロンがエルサレム旧市街にある神殿の丘訪問を強行。パレスチナ人は民衆蜂起(インティファーダ)で抗議するも両者の「実力差」は圧倒的で、占領問題は泥沼化する。05年にはガザ地区からイスラエルが撤退するが、代わりに周囲を取り囲む「壁」を建設。パレスチナ人は検問所を通過するのにID確認を要求され、ガザは「天井のない牢獄」と呼ばれるに至る。

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