故・宝田明さんが語った少年時代の壮絶体験「戦争なんて愚かなことはやっちゃだめですよ」
■11歳の時、ソ連兵から銃撃されて…
「ゴジラシリーズ」の撮影中はジャングル(セット)を逃げ回ったり、岩場を走り回ったり、生傷が絶えなかったそうですが「僕は本物の機関銃で撃たれた経験があるから、少々のことは平気でしたよ」とおっしゃる。トミーズの雅君が「どういうことですのん? ホンマの機関銃で撃たれてるて」と聞くと、「終戦前(1945年8月)に満州にいたんだけど、突然ソ連兵が現れて機関銃を乱射してきて、その一発が腹に当たっちゃったんですよ」とカメラにお尻を向け、ズボンを下げて、司会のトミーズたちに右下腹部にある傷口を見せてくださいました。それが11歳の時で「軍医さんが銃弾の摘出手術をしてくれたんですけど、麻酔がないんですよ」「え!? 麻酔なしですか!?」「そう。棒切れみたいなものに白い布をまいて、舌を噛まないように口にくわえさせられてね」「痛いでしょ?」「表現ができないぐらい痛いんだけど、人間てうまくできてるんですね。我慢の限界がきたら気を失ってわからなくなるんですよ! それで助かったんです、ちょっとすごいでしょ! その時、俺は不死身なんだな~って思ったね~」と笑い話のように明るく話されながら「戦争なんて愚かなことはやっちゃだめですよ」としみじみ話されていました。
昨年87歳でお亡くなりになられましたが、天国で後進の作った最新作の「ゴジラ」をご覧になって、思いを馳せておられることでしょう。