流山児★事務所「田園に死す」は天野天街マジック全開!寺山修司劇世界の到達点
初演が2009年。2014年に「最終公演」と銘打ち、いったんピリオドを打った作品だが、「寺山修司没後40年」に合わせての復活再演。
寺山の同名映画をモチーフに、少年王者舘主宰の天野天街が解体し、「脱構築」したもの。「田園に死す」自体がコラージュ(複数の作品の接合)の天才・寺山による到達点だが、現代のコラージュの天才・天野演出(脚本・構成も)により、時空間を超越した「記憶」と「夢」と「真実」が折り重なる「びっくり箱」のような舞台となった。天野ワールドと寺山ワールドの幸福な合体作だ。
開演のアナウンスから一瞬で暗転し幕開けというテンポの良さ。闇の中での登場人物全員による寺山短歌の群読からスタート。それも、言葉は切り刻まれ、他の言葉と置き換えられる。これは18歳の少年歌人として鮮烈なデビューをした寺山が先達の俳句の一部を取り入れたことが問題視されたことを踏まえたもの。「言葉というのは数千年の手あかで汚れてきたものだ。ものとものがぶつかる時に、新しい現実が引き出されるのだ」と反論した寺山へのオマージュといえる。