実力派・笑福亭羽光 献血ルームで小腹満たした下積み時代
38歳のオッサンと、オッサンにリーチがかかりつつある32歳が6畳一間に2人ですからね。そりゃあ、よからぬ噂もしょうがないってぇもんです。
誤解のないように申しますと、落語家になる前から同棲していた嫁とは離婚したワケじゃあありませんよ。ただ、前座時代はずっと貯金を崩しながらの生活でしたし、二つ目になったからといって、急に高座が増えるわけでもありません。むしろ、1回1000円でも寄席で前座仕事をしてる方が、確実に収入があったわけでして。
前座を卒業するってえのはうれしい半面、それからが自分自身の腕と器量で仕事を見つけなければならないわけですから、ふんどしを締め直さなければならないってことでもあるんです。
そんな大事な時に大震災でしょ。世の中、自粛自粛で、私たち落語家もその流れで仕事が激減しましてね。弱り目にたたり目。ですから嫁の選択も、しょうがないかな、と。実家に帰れば、住むところと食うのには困らないですし、フリーの出版デザイナーだからパソコンとインターネットが通じる場所なら、とりあえずは仕事ができますからね。