反ワクチン団体「神真都Q」メンバーに美輪明宏の甥も 逮捕されたリーダーに殺人未遂の前科

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 反ワクチン団体「神真都Q」(やまとキュー)のリーダー、イチベイ(岡本一兵衛)こと倉岡宏行容疑者(43)を、20日朝、警視庁公安部が建造物侵入の疑いで逮捕した。今月7日には同団体のメンバー4人も5~11歳の子どもの接種会場になっていた東京・渋谷区の小児科クリニック内に押し掛け、侵入した疑いで現行犯逮捕されている。倉岡容疑者は日活俳優として活躍した岡崎二朗の息子で、本人も元俳優なのだが、神真都Qに関しては、倉岡容疑者とは別に意外な人物の名前も浮上している。タレントの美輪明宏さんの甥で、プロレスラーの中野道明氏だ。

 渋谷のクリニック襲撃事件で逮捕された神真都Qのメンバーの一人が、中野氏の妻だ。それに怒り狂った中野氏は逮捕3日後の今月10日深夜に自身のインスタグラムで、こう綴っている。

■「日本刀でクソどもをぶった斬りに行く」

「カミさん その他 大切な3人をもっていかれた。奴ら全員、皆殺しに行く」

「俺は侍。一人でカチコミする。」

「日本刀持って クソどもを今から ぶった斬りに行くわ。みんな、ありがとね」

 さすがに神真都Q関係者からいさめられたようで、後に中野氏が涙ながらに謝罪する動画が神真都Qの公式サイトで公開された。

 この中野氏自身、今年3月15日に東京ドームの「襲撃」に参加している。その場で警備に当たるスタッフや警察官に向かって、こうまくし立てた。

「(ワクチン接種に加担する)お前ら全員、殺人幇助罪だぞ! 罰せられるからな! ニュルンベルク裁判、調べろよ! 最悪、死刑だぞ! 脅しじゃないぞ! 覚えとけ!」

 ニュルンベルク裁判とは第二次大戦後にドイツの戦争犯罪が裁かれた国際軍事裁判のことだが、彼の中ではワクチン接種を罰する裁判例ということになっているようだ。

リーダーは殺人未遂容疑で逮捕歴も…チラつく芸能人たちの影

 神真都Qには、芸能関係者が何人か目につく。例えば、元アイドル歌手で元グラドルの小出広美さん。そして逮捕された倉岡容疑者も元俳優だ。

 倉岡容疑者の俳優時の芸名は岡崎礼。かつて日活俳優として活躍した岡崎二朗の息子で、2000年から07年にかけてヤクザもののVシネマに多数出演し、映画出演もある。07年に映像プロデューサーを刃物で刺し、殺人未遂容疑で逮捕されたこともある。

 神真都Qの活動を開始して以降、倉岡容疑者は俳優引退を表明。神真都Q「統括」(代表者)として全国のデモに顔を出し、終了後には一緒に写真撮影しようと参加者たちがノーマスクで列をなす場面もあった。

 神真都Qは陰謀論ユーチューバーのファンサークルが初期メンバー集団の母体となったという説がある。彼らが慕う陰謀論ユーチューバーのジョウスター(JOSTAR)氏は音楽プロデューサー、DJ、イベンターの顔を持つ。ジョウスター氏がQアノンの陰謀論やオカルト的な「都市伝説」の動画を流していたYouTubeチャンネルは、もともと音楽関係のトークやイベントを流すだけのものだった。動画1本あたりの視聴数は多くて2000回再生程度だったが、20年に陰謀論チャンネル化してからは再生回数が万単位に跳ね上がった。

 神真都Qがことさらに芸能人を狙って勧誘しているという話は聞かないが、芸能関係者のスキルが人集めに威力を発揮している。

■“反ワクチン弁護士”が団体を支援か

 メンバー4人に続き代表者まで逮捕された神真都Q。そんな彼らに支援を表明している弁護士がいる。ワクチン接種中止などを求めて国を提訴している「反ワクチン弁護士」の木原功仁哉弁護士(大阪弁護士会)だ。

 木原弁護士は、神真都Q事件の弁護を受任したかどうか明らかにしていないが、倉岡容疑者が逮捕されるより前の4月11日、秋葉原で行った街宣後に筆者の取材に答えている。

「依頼があれば、反ワクチンの活動をやっている者として(容疑者を)救済しなければならないと思います。国家の緊急時で公共機関も救済してくれない状態で、相当な方法であれば、"祖国防衛権"の行使は認められている」

 神真都Qのオープンチャットで会員が報告したところによると、同日の前後、木原弁護士は当時すでに逮捕されていた4人のメンバーの接見にも出向いたという。

 木原弁護士は昨年10月の衆院選に兵庫1区で無所属で立候補し落選している。今年の参院選にも、反ワクチン等を唱えて立候補のする予定だ。秋葉原での街宣は、それを見据えたもの。街宣では、コロナワクチンについて「人口を削減することが目的」などと語った。またワクチン以外についても、「ウクライナは日本にとって敵性国家」「日本政府が受け入れているウクライナ難民は、本当に難民かどうかわからない」「日本国憲法は米国との条約であり、護憲か改憲かではなく日本国憲法の有効性を議論すべき」といった持論を展開した。

 木原弁護士はもともと神真都Qの関係者ではないが、神真都Q側からのSOSを受けて、似た主張を持つ者として援護に乗り出そうとしているのかもしれない。

(取材・文=藤倉善郎/ジャーナリスト)

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