白内障手術失敗体験談(8)「医療ミスではないのか?」執刀医に尋ねてみた
リカバリー手術が成功し、正常な視力が戻ったいま、私の胸をよぎったのは「医療ミスはなかったのか?」という疑惑です。
連載にあたり、改めて最初に私の白内障手術を行った眼科医院を訪ねました。院長は国立大学医学部出身のベテラン眼科医です。白内障の手術は白く濁った水晶体を超音波で砕き、それを吸引して取り除き、そこに人工レンズを装着して終わります。たいてい15分程度で終わる簡単な手術のはずです。ところが、私の場合は60分あまりかかったうえ、誤って水晶体後嚢を破損。核片が硝子体に飛び散り、手術続行が不可能になったのです。
──「後嚢破損」の前に手術を中断する選択肢はなかったのですか?
「途中でやめたら、水晶体が膨らんできていろいろ合併症を引き起こし悪さをするので、やめることはできませんでした」
──手術前に後嚢破損の可能性を予測できなかったのですか?
「わかっていたら無理はしません。破れるのは瞬間なので、兆候を予測することはできません」