山田元広報官に見る ごっつぁん女子の生態「3要素」に注目
菅首相の長男らからの1人7万円接待で総務官僚11人の処分が発表された当初、山田真貴子・元広報官(60)の処分はナシ。山田氏は一時辞任を否定、給与返納で逃げ切ろうとしたからタチが悪い。ま、結局、辞職だが、ごっつぁん女子は巷にもいる。その生態は?
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山田氏を語る上で代名詞になったのが、「飲み会を断らない女」だ。広報官になる直前の昨年6月、若者向けの動画に自ら語った言葉で、「イベントやプロジェクトに誘われたら絶対に断らない」とのエピソードと並んで飛び出した。そうやって「出会うチャンスを愚直に広げ」ることが、「幸運を引き寄せる力」を蓄えると訴えたかったらしい。
目の前の鉄板でアワビを焼いてもらい、ステーキを焼く最中、アルコールでぶわっとフランベしてもらう機会なんて、フツーはあまりない。本人が国会で証言したように、横並びの相手を気にせず、目の前のディナーを楽しむだけなら、これほど楽な会合はない。フリーな7万円接待、なるほど幸運か。
山田氏ほどの金額ではないにせよ、ごっつぁん気質の女性は巷にいる。「幼いころから、自宅にお中元やお歳暮、お土産が届くような家庭に育つ長女は、ゴチ体質になりやすい」というのは、男女問題研究家の山崎世美子氏だ。どういうことか。
「そういう家庭は、両親や親族にステータスがあるから、手土産を受けるのです。山田氏が育った昭和は、お中元やお歳暮の風習が広く行われていましたから、一般家庭でもそれなりにもらい物を受け取る機会はあったでしょうが、より頻繁になりうるステータスの家庭だと、知らず知らずのうちに“もらって当然”という意識が刷り込まれることがあります」
大学時代に亡くなった山田氏の父は、国家公務員。当時の国家公務員なら、部下や関係先からそれなりの贈り物があったと考えて不思議ない。
ところで、長女はなぜか。山崎氏が続ける。
「相談者の中には、ゴチ体質の女性もいます。そういう方の話を掘り下げると、長女、あるいは一人っ子に多いのです。食事を優先してもらえる環境が大きいのでしょう。小さいころから母に『全部召し上がれ』といわれて育つせいか、いわゆる“遠慮の塊”にためらわずに箸を伸ばす。そんなタイプの女性がゴチ気質を持ちやすい」
グループで食事すると、皿に少しだけ料理が残る。周りを気にして箸を伸ばすのをためらうから“遠慮の塊”だが、そこに「いただいちゃうね」といえるのは食事を残さず食べるという点ではすばらしいが、遠慮する性格は感じられない。その後の置かれた状況や環境次第で、ゴチ体質が時として芽生えてくることも十分か。
コンプレックスを抱いた うわべだけのエリート
当時の山田氏は、総務省ナンバー2の審議官。心理学が専門の明大講師・関修氏は、このエリート要素に着目し、ゴチ気質を抱えるエリートをこう分析する。
「真のエリートは、目標がハッキリしていて、規範意識が高いので、ゴチ体質にはなりにくい。うわべだけのエリートであることがポイントです。そこに上昇志向と計算高さが重なって、中枢のポジションを得ると、ゴチ体質が芽生える可能性があります。そういうタイプは出世に興味があるから、どうすれば自分が上に行けるかを考え、計算して上司に尽くす。得意先にその上司や親族がいれば、計算高いがゆえ、当然近づきます。学歴にコンプレックスを抱えたままうわべのエリート街道を歩むタイプは、なおさらですね」
東大が幅を利かす霞が関にあって、早大法学部卒(84年)の山田氏は傍流。その学歴を“上書き”しようと、仮面浪人で東大進学をチャレンジしたが、失敗した上、卒業は同級生と1年遅れた。山崎氏もこう言う。
「山田さんは顔立ちが整っていますから、先輩や上司に気に入られたといわれます。さらに、ご主人が年下であることも加味すると、間違いなく甘え上手でしょう。一般に『甘え上手』『美人』『周りがエリートぞろい』という3つが重なると、かなりの確率で女性はゴチ体質になります」
深層心理は否定を外した肯定にある
さかのぼれば山田氏が東京学芸大付属高を卒業した79年、母校の東大入学者数は102人で、開成、灘に次ぐ全国3位。当時の学芸大付属は、毎年100人前後が赤門をくぐる“東大常連校”だった。
東大進学者数が低下傾向の最近とは違い、このあたりにコンプレックスの原点があったとすれば、先んじた“赤門組”を見返したいとの一心で出世にシャカリキになるのもうなずける。
「コジれたエリートが出世して中枢にたどり着きながら失敗すると、知らぬ存ぜぬが口癖になります。傍流ではなく、中枢なら、ルールを変えられると思いあがる。権力の庇護があればなおさらでしょう。その計算で、イザとなれば、知らぬ存ぜぬで何とかなるという心理が芽生えるのです。ピンチのときの知らぬ存ぜぬは、霞が関や永田町だけの用語ではありません」(関氏)
そうやって否定の言葉が放たれるが、深層心理の重心は否定を外した肯定形の言葉にあるという。菅首相の長男が同席していたか問われた山田氏は、「お会いする方がどういったご子息であるかとかは、あまりおつき合いに関係がない。私にとって大きな事実だったかというと、必ずしもそうではない」と反論している。親や親族の肩書を気にしないというのは時流に沿った答弁かもしれないが、関氏の解釈なら“親の肩書を気にする”が正解だという。
そう考えると、コジれた上昇志向の女性は、ゴチ体質に成り代わる恐れがあるということだ。
山田氏は広報官を辞任するまで会見で挙手する記者を「○○社の××さん」とスラスラと名前で指名していた。あの記憶力の良さと仕切り力の高さがありながら、7万円の店については「安価な店だと思わなかったが、どの程度の金額なのかという認識はなかった」とあいまいにかわしている。山崎氏は、この点にゴチ体質を感じ取る。
「接待の場合、接待する側が相手の好みやレベルに合わせて店を選ぶのが一般的です。相手のランクが高ければ、その下調べは入念になります。山田さんのケースで支払いが7万円だったということは、コースで5万円、お酒代や諸経費込みで7万~8万円という算段だったはず。そういう店を提示されたということは、山田さんがそのランクの店に通い慣れているからかもしれません。『どの程度の金額か認識がない』と言われたところに、そんなニオイを感じます」
女性に下心があるかどうかは別にして、男性が女性にごちそうするなら、せめておいしそうに食べてもらいたい。7万円接待がフツーの女性では、タマランチ会長だ。
「ゴチ気質の女性は、お会計になる少し前のタイミングで外に出ます。私が若い子を誘ったときもゴチ女性は大抵そう。私が誘って払う気でいますから、まあ仕方ないのですが、『ごちそうさま』は後付けで、払うそぶりもないのは失礼。ですから、誘うなら、甘え上手でも妹タイプの年下女性がベターです」(山崎氏)
せっかく使うカネがムダにならないように。