面接はわずか7分間で終了…カラオケボックスに60代は不要らしい
「うちにはいませんが、他の支店にはいるんじゃないかなぁ……」
と天井を見ながら答える。心ここにあらずという雰囲気だ。
「実際に60代で採用された事例はありますか?」
「え~っと、あると思いますよぉ」
「60代を面接するということは、カラオケ業界は人手不足なんですか?」
江島氏は「まあそうですね」とうなずいたあと、「面接関係の質問以外は受け付けません」とキッパリ。私が口ごもると、「採用の場合は連絡します。忘れ物のないようお帰りください」と追い出しにかかる。
「週に何時間働けますか?」「料理などは何種類?」と食い下がったが、「そうしたことは採用が決まってから聞いてください。お忘れ物のないように」。
江島氏は決然と私のカバンを指さした。事前の連絡には「面接は15~30分」と記載されていたが、わずか7分で終了。見送りも受けず私は店を出た。
「カラオケボックスが65歳のオッサンを雇うはずないよなぁ」
自嘲めいた声が私の胸に大きくこだました。採用の連絡が来なかったことは言うまでもない。
(林山翔平)