神田司町にある1905年創業の居酒屋「みますや」で蘇ったドジョウ汁の思い出
先日最終回を迎えた朝ドラに出ていた甘味処のモデルとなったのは神田須田町の竹むら。
この店だけではなく周辺には昔から続く店が多い。かんだやぶそばをはじめ鮟鱇のいせ源、鳥すきのぼたん、洋食の松栄亭、表に出れば神田まつやがある。池波正太郎のエッセー常連の店が軒を連ねる。奇跡的に戦災を免れ、昔のままの姿で建物が残っている界隈だ。
少し歩けばマニアの聖地・秋葉原。世界中から集まってくるオタクたちが物珍しそうに流れ込んでくるらしい。今回は秋葉原を背に靖国通りを渡って神田司町を目指す。目的は日本で一番古い居酒屋といわれる「みますや」だ。
創業は1905年。神保町に勤務していた頃、よく先輩に連れて行ってもらった店だ。「たまにはまっとうな居酒屋で熱燗でもどうかね?」「みますやですね。行きましょう!」。二つ返事で付き合ったものだ。
今回、久々に訪ねて驚いた。開店前なのにすでに30人ほどの人がたむろしている。酒好きのオッサンばかりかと思えばさにあらず。数組の若いカップルから20代とおぼしきサラリーマンのグループなどまさに老若男女。入れるか心配したが、幸い店内は広く、テーブルも大きいので相席も苦にならない。アタシは奥の10人掛けのテーブルに案内された。テーブル席には一人客のアタシと正面に地元の先輩1人。左右にはそれぞれカップルが4組。あっという間に座敷を含めて100席ほどが埋まった。
アタシが驚いたのはこれだけの人数に対する客さばきだ。忙しくて話しかけられなかったが、中心になってさばくお姉さん以下7、8人の若い店員さんがてきぱき動き回っている。その一人を捕まえてアタシが注文したのは、スーパードライの大瓶(650円)と肉豆腐(550円)、そして忘れてはならないドジョウの丸煮(750円)。