不動産相続これだけはやっちゃダメ!「共有名義」はリスクの温床でしかない
2024年は問題が顕在化する
全国の土地の2割が所有者不明の状態であり、相続登記がされていないことが大きな原因とされる。
相続登記とは、不動産の所有者(被相続人)が死亡した場合に、登記名義を相続人に変更することだ。
2024年4月1日から不動産登記法改正による相続登記の義務化が施行となる。
「今回の法改正の目的は不動産の流動化です。安全で円滑な取引をするためには登記で権利関係を明らかにしておくべきなのですが、今までは登記する義務がなかったので放置され続けるケースが多かった、そこで義務化になったのです」(三平聡史弁護士)
改正により、遺産相続を知ってから正当な理由がなく3年以内に登記を申請しないと10万円以下の過料。氏名や住所を変更したときも2年以内に変更登記をしないと5万円以下の過料が科されることになる。
登記義務化によって、過去の相続の登記もしなくてはならなくなる。たとえば、きょうだい共有の登記をすることになると、共有者間で話し合いが始まるきっかけになり、今後、遺産分割トラブルが再燃していくとも考えられるのだ。
だが、地方の山林など資産価値が低い不動産は登記手数料がかかるだけで得にもならないので放置されがちだったが、なぜ都市部で相続登記が放置されてきたのか。
「相続したときに一戸建てや区分マンションは物理的に分割して売ることは難しいんです。そこに兄弟姉妹の誰かが現住している場合、本来は、住んでいない人が、住んでいる人に共有持ち分を買い取ってもらうとか家賃相当額を毎月払ってもらうという方法をとります。これを遺産分割といいます。しかし、親が亡くなった直後にそんな話はしたくないし、特に仲がよい(悪くはない)きょうだいであればそんなお金の話はしないまま現状維持、つまり遺産分割も登記も先送りにすることが多いんです」と三平弁護士は説明する。