日銀は大規模金融緩和を維持 植田総裁に突っぱねられる岸田首相「デフレ脱却宣言」構想
日銀は19日の金融政策決定会合で大規模金融緩和を維持することを全員一致で決めた。植田総裁は7日の国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と答弁。年末の今回、緩和を修正するとの観測も一部あったが、大方の見方通り、現状維持となった。
■日銀内では早期修正に慎重論
会合は来年1、3、4、6月と続く。市場ではマイナス金利の解除時期が焦点となっている。QUICKと日経ヴェリタスが市場関係者74人に実施した12月調査(11~13日実施)によると、解除時期は1~3月が36%、4~6月が43%で約8割が6月までに解除に踏み切るとみている。しかし、解除は遠くないとの観測は、市場の過剰反応である可能性がある。日銀内ではマイナス金利の解除について、慎重な見方が強まっているという。
「国民がマイナス金利などの金融緩和を批判するのは、円安・物価高を招いているからです。ところが、FRB(米連邦準備制度理事会)は今月13日の会合で来年の利下げ回数の想定を従来の2回から3回に拡大しました。来年は円高トレンドが見込まれ、日銀が緩和を修正しなくても、過度な円安は収まり、少しは物価高も落ち着く見通しが出てきた。内田副総裁は緩和による副作用の懸念は大したことがないとの立場。わざわざ、金融を引き締めて、賃上げムードに水を差す必要性は乏しいとの見方は日銀内で少なくないようです」(金融関係者)