東証改革で市場激変! グロース市場上場維持リスク…約170社こそ「買い」
東京証券取引所(東証)の改革で上場廃止につながる上場維持基準も設定され、各市場では生き残り策が活発化している。狙い目はグロース市場だという。
◇ ◇ ◇
かつては東証1部、2部、マザーズ、ジャスダックと4つの市場区分があったが、2022年4月からプライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つの新市場に区分された。それぞれ上場基準と上場維持基準も異なる。わかりやすい上場維持基準は流通株式時価総額で、時価総額は、株式市場において企業価値を表す指標の一つだ。
「東証再編に伴う市場変更の背景には2つの理由がある」と上場ベンチャーの資金調達を支援するグロース・キャピタル社の嶺井政人代表は話す。
1つ目の理由は、市場が玉石混交になっていたこと。小さな企業もあれば、グローバルに挑戦する企業もあり、区分コンセプトが曖昧に。その結果、区分へのインデックス投資も曖昧になり、投資家も投資しづらくなっていた。
2つ目は成長を促す区分になっていなかった。
「日本企業は上場のハードルが高いが、上場後は成長しなくても残り続けられる。日本の大学みたいな感じです。上場した企業の成長を促すため、上場維持基準が設けられました」
■基準の変更
この上場維持基準で論点となるのは次の2つ。
①基準を満たしていないがプライム市場にいる企業。
流通株式時価総額100億円以上は容易に達成できないため、そのギリギリのラインにいる企業がいる。未達の企業は23年9月までは無審査でスタンダードに移行できたが今や対象外。スタンダードに移るにも新規上場と同様の審査を受ける必要がある。時価総額を上げるために既存事業の成長に向けたアクションやM&Aなどをする必要がある。
②グロース市場にいながら、早晩基準を満たさなくなる可能性がある企業。
<上場10年経過後から時価総額40億円以上>という維持基準で、東証は、この基準をより厳しくする見通しだ。
たとえば、2月7日付ヤフーファイナンスを確認すると、グロース市場563社のうち、171社が時価総額40億円割れだ。投資家としてはこの171社への投資は避けたほうがよさそうだが、嶺井氏の見方は異なる。
「171社は上場廃止されないため、成長へのプレッシャーがかかっている状態。基準を満たしている会社以上に成長にアグレッシブな会社もある。一律にネガティブにとらえる必要はありません」
むしろ買いかもしれない。