がん患者の退院後の“自宅治療食”を開発…最大の特徴「凍結含浸法」とは
大久保あさ美さん(西本ウィズメタックホールディングス)=前編
日本人の2人に1人が罹患するがん。一方で早期発見と適切な治療により「不治の病」から「治る病気」へと変わりつつある。しかし、がんサバイバー(がんの診断を受けた後を生きていく人々)にとって、治療後の食事が新たな悩みの種になっているという。
「胃がんの場合、胃の一部または全部を切除する手術が行われます。その後の食事では消化のしやすさが求められ、栄養バランスにも気をつける必要があります。入院中は病院食なので安心ですが、退院すると途端に食事に苦しむ患者さんが多い。療養食を実際に作るとなると本人にも家族にも大きな負担ですし、そうした術後の患者に適した宅配食もほとんどありませんでした」
そう語るのは、がんの治療中や消化管を手術した後の患者のための自宅療養食「食卓の名医」を開発した病態栄養専門管理栄養士の大久保あさ美さんだ。
この商品の最大の特徴は、「凍結含浸法」と呼ばれる特殊な製法にある。