裏金を自民は絶対手放さない!政治資金規正法改正「与党案」政活費“温存合意”でクッキリ
絶対に「掴み金」を手放す気はないようだ。自民党の裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡り、自公両党が9日、与党案の大筋合意にこぎつけた。週内決着の日程ありきで合意を急いだため、肝心の中身は生煮えだ。
政治資金パーティー券購入者の公開基準を現行「20万円超」から引き下げる方針だが、下げ幅は先送り。焦点の政治活動費(政活費)の扱いも〈支払いを受けた者がその使途を報告し、収支報告書に記載する〉とあるのみ。ザックリし過ぎてピンとこない。
「公明は受け取った議員に使途の明細書作成を義務付ける案を主張。一方、自民は『調査研究』や『党勢拡大』など大まかな支出項目を公表する方式を訴えていた。典型的な折衷案で結局、具体的な公開の範囲などは棚上げです」(与党関係者)
裏金事件の当事者ながら、自民は主張を譲らず玉虫決着。「党勢拡大」などフワッとした名目で金額を公開されても具体的な使い道はサッパリで、透明化にはほど遠い。
政活費は使途報告の義務はなく、領収書も不要。自民の二階元幹事長が在任5年で手にした約50億円は全額、使途不明という事実上の「裏金」だ。自民には幹部が選挙応援に入る際、政活費を使って陣中見舞いを渡す悪しき慣行があり、2019年の参院選では選挙対策委員長だった甘利元経産相が全国の候補に、陣中見舞い100万円をバラまいた疑いがある。甘利氏は中国新聞に「(原資は)党からの金」と答え、政活費の可能性が高い。
「自由に使える『表に出せない金』が自民幹部の力の源泉。主権者・国民に使途を知らせたくないのは、後ろめたい金である証拠です。正真正銘の『裏金』ですよ」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)