「早期・希望退職」募集が続出する2つの理由…3年ぶり1万人超えへ
「早期・希望退職」を募集する企業が続出している。コロナ禍による業績悪化で人員削減する企業が急増した2020年(1万8635人、93社)、21年(1万5892人、84社)以来、3年ぶりの1万人超えが確実な状況だ。
東京商工リサーチの5月16日までの調査によると、上場企業で27社、4474人が対象となり、すでに昨年1年間(3161人)の実績を超えている。同社の友田信男情報本部長が、今年の特徴は2つある、とこう述べる。
「全体の62.9%(17社)が黒字企業です。円安で業績の良い企業が、不採算部門の縮小や閉鎖で今後伸びる事業に人を投入する構造改革を進めています。また、これまでのような45歳、50歳以降といった対象年齢に制限を設けない企業が増えてきています」
さらに30年ぶりの賃上げの影響が、企業の構造改革を進める背景になっていると次のように言う。
「今後も賃上げが続くと考えると事業部門の採算、将来性からみて人件費の負担増は避けられません。そのため企業は賃上げの一方、人件費の抑制による合理化がさらに進むことになる」