21世紀で最も値上がりした投資資産は何だ? 利子も配当もないのに…
今世紀に入って最も値上がりしている投資資産をご存じか。大半の人は米国株を思い浮かべるだろうが、答えは意外にも金(ゴールド)である。
主要な資産の2000年末以降の投資収益率を算出すると、金のNY先物が8.5倍。米国株6.5倍、新興国株6.2倍、先進国株5.0倍などを上回ってトップなのだ(MSCIの配当込み指数)。ちなみに日本株(日経平均)は2.9倍である。
NY金先物価格は今年の5月20日に、1トロイオンス(約31.1グラム)=2454ドルの史上最高値を更新。昨年末比で2割弱上昇、コロナ禍前の19年末に比べ6割高の水準である。
言うまでもなく、金は所有していても、預金のように利子はつかないし、株のような配当もない。では、なぜ金の価格がこんなに値上がりしているのか。
①ウクライナや中東情勢の緊迫化による地政学的リスクの高まり。いわば「有事の金」。
②昨今の主要国のインフレで通貨の購買力が落ちていること。
そして最大の理由が③世界中の中央銀行による大量の金購入だ。ウクライナ侵攻への制裁としてロシア保有のドル資産が凍結された。つまりドルが武器として使われて以降、中国やブラジルなど新興国の中央銀行はドルに代わる外貨準備として金保有に動いている。その規模は22年以降で1000トン強。これは世界の年間需要の2割程度に相当する。