湘南美容外科の親会社が米ナスダックに上場した狙い 創業者・相川佳之氏はシンガポールに転居
また、難病の子供たちへの支援などにも熱心で、2011年にカンボジアに2棟の小学校を建設。「情熱小学校」と名付けた。グループを挙げて瀬戸内海の無医村診療に取り組んでいる。
■創業以来、増収増益で運営
「湘南美容クリニックは創業以来、23年間、増収増益を続け、無借金で運営してきました」(相川氏)という。
ただ、「美容や脱毛、エステ業界は信用不安を含めて悪評だらけの会社が多いのですが、その中にあって湘南美容クリニックは財務内容も良好で、サービス面も高く評価されています。しかし、医療については、研修医の美容医療への即時就職はこれから難しくなるとされており、成長鈍化が予測される。そのため海外に活路を見いだすためにナスダック上場を選んだのでしょう」(メガバンク幹部)とされる。
相川氏も「日本だと医療機関は上場できないため、資金を調達する場合は、銀行から借りるしかありません。また、病院は土地建物付きが多いので、バランスシートが重たく、大きめの病院だと100億、200億ほどの資金が必要です。これを自己資金でM&Aを実施していくのは難しいです」と語っている。
相川氏は2023年8月、シンガポールに転居した。「シンガポールへの転居は税金対策もあるのだろうが、ナスダック上場で得た資金でより事業のグローバル化に拍車がかかるのではないか」(大手証券幹部)とみられている。