日銀が「異次元緩和」を総括…12年に及んだ“壮大な社会実験”はやはり失敗だったのか?
日銀は19日、1990年代後半から25年間にわたる金融緩和政策の効果と副作用をまとめた検証結果「多角的レビュー」を公表した。
注目されたのは2012年12月に発足した第二次安倍政権が始めた経済政策「アベノミクス」の名のもと、黒田東彦前総裁(80)が13年4月に導入した量的・質的金融緩和(異次元緩和)に対する評価だ。
異次元緩和とは「2年程度で消費者物価2%目標を実現」「マネタリーベース及び長期国債・ETF(上場投資信託)の保有額を2年間で2倍に拡大」「長期国債買い入れの平均残存期間を2倍以上に延長」など、従前の政策とは量・質ともに次元の違う金融政策として、故・安倍元首相と黒田総裁による“アベクロコンビ”が旗振り役を担った。
市場にお金をどんどん流せば、企業が設備投資などに活用し、雇用は増え、従業員の賃金もアップする。大企業から中小企業にお金が滴り落ちるような「トリクルダウン」が起きて国民皆がハッピーになる。
大雑把に言えばそういった話だったわけだが、14年10月から国債購入額を毎月10兆円に増やす追加策を実施し、16年1月からはマイナス金利策という「禁じ手」まで導入したものの、結果を見れば「トリクルダウン」は全く起きず、市場にあふれたカネは大企業の内部留保と不動産、株式市場に流れたと言っていい。