企業調査で分かった異次元緩和の“汚点” ジャブジャブ融資はやはり有効活用されていなかった
日銀が金融政策を変更し「金利のある世界」が本格的に戻ってきたが、10年以上もの長すぎた異次元金融緩和の“汚点”が、またひとつ明確になった。東京商工リサーチのアンケートで、2割超の企業が「金融機関から使途のない借入金がある」と答えたのだ。
アンケートは日銀が先月31日に政策金利を0.25%へ引き上げると決めたことを受け金融機関の貸し出しへの影響を探る目的で、今月1~13日に実施。金融機関からの借入金がある3432社から回答を得た。その結果、「使途のない借入金がある」と回答した企業は20.9%に上ったという。
もちろん最多は「すべてに使途がある」の79.0%ではあるのだが、一方で、2割超もの企業が使い道がないのに借金しているという事実に驚いてしまう。ゼロ金利政策のなせるわざだ。これらの企業のうち6割が、今後、金利が0.5%上昇したら、返済するなどして借り入れをやめると答えている。
「日銀が長期にわたる金融緩和で市中にジャブジャブと資金を供給したものの、実需の伴わない融資だったので、資金が使われることなく滞ってしまった。それが今回のデータに表れた形です。アベノミクスの異次元緩和の大号令の下、日銀の顔色をうかがう金融機関は、融資を増やさなければなりませんでした。しかし、企業は内部留保を増やしているほどですから、融資を受けても使わない。ゼロコストだから借りておきましょう、というのが実態でした」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)