著者のコラム一覧
小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

フォルクスワーゲンの逆襲その2…ワゴン専用になったパサートはこれでもか!ってほどエレガントに

公開日: 更新日:

フォルクスワーゲン パサート(車両価格:¥5,248,000/税込み~)

 このクルマ、ホントにパサートなの? そう言いたくなるほどエレガントになったのが、フォルクスワーゲン(VW)新型パサート。マイチェンモデルを含め、2024年から25年にかけてイッキに4車種も一新中のVWの代表作だ。

 しかも新型パサートは、先週紹介した3代目ティグアンとは違い、とんでもなく長い歴史を持つ元々はセダン&ワゴン。デビューは1973年と名作ゴルフよりも古く、かつては広さやクオリティを誇ると同時に、「ドイツの公務員が乗るクルマ」と言われてたこともある。ぶっちゃけマジメ過ぎて、デザイン的に凡庸すぎたのだ。

 ところが先代あたりからかつてない伸びやかフォルムを纏うようになり、この新作9代目からセダンを排除してワゴン専用となりますますエレガントに。その風ぼうは一瞬貴族が狩猟用に使うシューティングブレークか?と思えるほど。

ボディプロポーションは完全な高級5ドアスポーツ

 最大のキモは根本的なボディプロポーションにある。ワゴン専用化して振り切れたのか、全長はいきなり10cm以上も伸びて4.9m台に突入。ニラみ度を増した顔つきと伸びやかなフロントノーズ、デジタル感を増したリアフォルムはかつての凡庸な実用車のそれではない。ホイールも効率と美しさを両立したエアロデザインで、完全な高級5ドアスポーツだ。このワゴン専用化を私は喜びたい。

 インテリアも実に上質かつエレガント。乗ったのが最上級のRラインだったこともあるが、インパネは隅々まで上質なブルーのステッチ入りスウェード生地で覆われ、ペダルまで金属調。シートも大柄かつ上質な本革仕様で、これまた青ステッチとシート自体が涼しくなるベンチレーション機能付き。

 極めつけは最近ますます先進化するVW流デジタルインフォテイメントで、遂にセンターディスプレイはEVテスラもビックリの15インチサイズに。オマエはパソコンか! と言いたくなるデスクトップぶりで、操作感もタッチスライダー方式を多用。サクサク動くうえ、これまたティグアンらと同様のエア式の強めマッサージ機能が楽しめる。

リアシートを倒すとワゲッジは1920ℓと超巨大に

 走りもまた今までのパサートとは違う、ひとクラス上の上質感を獲得。ボディ骨格が従来のMQBからMQBエボへと進化し、足周りも減衰力電動可変のDCCがDCCプロへとなり、完全にプレミアムセグメント入り。マジメに、この乗り心地だけでこのクルマに乗る価値アリだ。

 パワートレインの電動化も進み、1.5ℓマイルドハイブリッドFFと、日本で人気のある2ℓディーゼル4WDに加え、この世代からEVレンジを増やしたプラグインハイブリッド=eHybridまで用意。もちろんそのクラスになると値は張り、スタート価格は500万円台だが、eHybridは655万円台。とはいえメルセデスやBMWだったらほぼ1000万円クラス? のクオリティと言えるレベル。

 ラゲッジはワゴンボディらしく、リアシートを倒すと1920ℓと超巨大。マジメな話、この1台で高級車からちょっとした貨物車レベルまでカバーできる感じだ。

 パサートという名前に特別イメージはなかったアナタ。新時代のドイツらしい上質マルチヴィークルだと考えてくださいな。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    大阪万博の赤字回避は薄利多売な「ぬいぐるみ・お菓子」頼み…開幕100日切っても漂う楽天ムード

  2. 2

    ダイソーは出資4億円→500億円で回収し大儲けだが…誤算は韓国市場への橋頭堡を失うこと

  3. 3

    今さら聞けないUSスチール買収計画の「なぜ」…バイデン大統領の阻止に同社CEO激オコ、日本製鉄は猛反発

  4. 4

    ヒカルは年商200億円! ビジネスで成功したYouTuberが上場企業以上に稼いでいるワケ

  5. 5

    マグロ初競り歴代2位の2億700万円! 釣り上げた青森・大間の漁師は工務店社長もこなす「二刀流」

  1. 6

    三井住友銀行「初任給30万円」に引き上げに氷河期世代から恨み節…《実績あげた社員に還元して》の悲痛

  2. 7

    米大統領選は終わったのに…バイデン大統領が日本製鉄のUSスチール買収「阻止」のナゼ

  3. 8

    今春闘は33年ぶり高水準だったが…大企業の賃金は上がっていなかった? データは語る

  4. 9

    2025年は値上げラッシュ再来、実質賃金も大幅増は望み薄…荻原博子さんが説く「生活者の心構え」

  5. 10

    大阪万博チケットさっぱり売れず…1100万枚完売しないと赤字に、損益分岐点1840万枚なのに販売済み約744万枚

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    箱根駅伝で創価大も起用 ケニア人留学生の知られざる待遇

  2. 2

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭

  3. 3

    中居正広「テレビから消える日」いよいよ現実味…女性トラブル示談金9000万円報道いまだ波紋

  4. 4

    中居正広“9000万円女性トラブル”報道で再注目 女子アナや芸人が暴露…テレビ局の“悪しき風習”

  5. 5

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6

    中居正広「申し訳ございません」ついに謝罪もSMAP再結成は雲散霧消…元リーダーが“終止符”を打つ皮肉

  2. 7

    《親会社変わってくれ》楽天OBが実名で痛烈批判! 創設20年で監督6人が1年でクビの「負の連鎖」

  3. 8

    【箱根駅伝】「予選会組」からのシード入りを阻む「高い壁」の正体…今大会は10組中たった2校だけ

  4. 9

    SNSを駆けめぐる吉沢亮の“酒グセ”動画…高級マンション隣室侵入、トイレ無断拝借でビールCM契約解除→違約金も

  5. 10

    中居正広“9000万円トラブル”で番組窮地…「今でも許せない」告発女性が反撃の狼煙