著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

陸軍参謀本部は「北進論」陸軍省と海軍は「南進論」を主張

公開日: 更新日:
1941年9月、対米交渉の御前会議で採択された「帝国国策遂行要領」の部分。「対米(英蘭)戦争ヲ辞セサル決意」「戦争準備ヲ完整ス」などと書かれている(外交史料館蔵)/(C)共同通信社

 この頃の国策は軍事が中心になっていた。昭和12(1937)年7月からの日中戦争が一向に解決せず、「聖戦」の名の下で国民に負担を強いているがゆえであった。政治は軍事に振り回されてほとんど力を失っていたのである。

 昭和15、16年ごろは、中国を支援しているという理由でアメリ…

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